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 神の言葉を求めて


by iesukirisuto

森有正「パスカルにおける『愛』の構造」再読

 「パスカルにおける『愛』の構造」を再読した。これは、森の「デカルトの人間像」を再読した後、課題としてのぼってきたものである。森有正のデカルト理解をある程度理解した段階で、彼のパスカル理解をあらためて知りたくなったのである。前より、わかるようになっているだろうという予感があった。
 実際、そうであった。その後、パスカルの「パンセ」をところどころ読み直してみると、今までとまるで違って、パスカルの肉声が聞こえてくる思いがする。パスカルがやっと、自分に近いものとなりつつある。
 さて、森有正のこの著作を読みながら、思ったのは、この著作も、先の大戦中に書かれたものだった。そして、西田幾多郎の「デカルト哲学について」もそうだった。北森嘉蔵の「神の痛みの神学」もそうであるし、熊野義孝の「基督教概論」もそうであるし、バルトの「教会教義学」もそうであるし、ボンヘッファーの諸著作もそうである。
 自分でも気がつかないながら、先の大戦中に書かれたものを中心に読んでいたことに気づいた。これは、偶然ではないだろう。
 やっと、自分が生まれる直前の時代まで近づいている気がする。
 問題は、現在のことなのであるが。なんと遅々たる歩み。
by iesukirisuto | 2011-02-23 09:31 | 随筆